母、という感覚って不思議ですね。
日齢5。
無事に母児同時退院となり、自宅へ帰宅しました。
テーブルの上に、「おかえりなさい」と書いておいてあったメモを見て、産後初めて、出産時にも出なかった涙が、止まらなくなりました。
帰宅して赤ちゃんを抱っこしたままの状態で、ただただしばらく涙していました。
無事に満期で元気に生んであげられてよかった。という思いはもちろんのこと。
帰宅してメモを見た瞬間、母になれたからだと思います。
病院という環境。しかも、普段から仕事で携わっている産科の領域。
聞こえてくる用語も理解できてしまう。ナースステーションの大きな画面に映っているモニターも理解できてしまう。心音が落ちていて、と呼ばれていく新生児科の先生を見ては、その赤ちゃんが心配になる。
そんな環境の中で、コットに寝て病院用の肌着を着せられているわが子。
どうしても、「わが子だ、出産して母になったんだ」という感覚よりも、主治医としての視点・感覚で見てしまっていました。
入院中からその自覚はありました。母になりきれていない自分。
赤ちゃんはかわいいけど、患者さんの赤ちゃんをかわいいと思うのと同じくらいの感覚。
だからこそ、母乳も出が悪かった。
最小限の量とはいえ、ミルクを補足しないといけないくらい、不足していました。
1日に20-25回授乳して、搾乳をして、それでも出なかった。
入院中、母になれない自分が悲しくて悲しくて。
それが、帰宅してメモを見た瞬間、主治医から母に変わることができたんだと思います。
「担当患者さん」ではなく「わが子」になり。
そこを境に、ミルク補足は不要なくらい、母乳がポタポタ垂れるくらいの分泌になり。
遅ればせながら。母になりました。
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